ピラティスのニュートラルポジションとは?正しい見つけ方と維持のコツを徹底解説
ピラティスのニュートラルポジションの正しい見つけ方を仰向け・座位・立位の3パターンで解説。インプリントとの違いや体幹の使い方、よくある間違いの修正法、おすすめエクササイズまで初心者にもわかりやすく紹介します。
ピラティスのニュートラルポジションとは?基本の定義
ピラティスを始めると、最初に耳にすることが多い「ニュートラルポジション」。レッスン中にインストラクターから「ニュートラルを意識して」と言われても、具体的にどんな状態なのかわからない方も多いのではないでしょうか。
まずはニュートラルポジションの基本的な定義をしっかり押さえましょう。
ニュートラルポジション=背骨の自然なS字カーブを保つ姿勢
ニュートラルポジションとは、仰向けに寝たときに骨盤が「ニュートラル(中間位)」にある状態のことです。「ニュートラル」は英語で「中立」という意味で、骨盤が前にも後ろにも傾いていない、ちょうど真ん中のポジションを指します。
人間の背骨は、横から見ると緩やかなS字のカーブを描いています。首の部分(けい椎)は前方にカーブし、背中の部分(きょう椎)は後方にカーブし、腰の部分(よう椎)は再び前方にカーブしています。ニュートラルポジションでは、この自然なS字カーブがそのまま保たれた状態になります。
仰向けで正しくニュートラルポジションが取れているとき、腰椎の自然な前弯(ぜんわん=前方へのカーブ)が維持されています。そのため、腰と床の間に手のひら一枚分ほどのスペースが生まれるのが特ちょうです。
背骨が前方に向かってカーブしている状態のことです。腰の部分は自然に前弯しており、これが衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。この自然なカーブを保つことがニュートラルポジションの基本です。
ニュートラルポジションは、ピラティスのほぼすべてのエクササイズの出発点となる基本姿勢です。ここが正しく取れていないと、その後のエクササイズの効果が半減してしまうこともあります。ピラティスの土台とも言える大切なポジションです。
なぜピラティスでニュートラルポジションが重視されるのか
ピラティスでニュートラルポジションがこれほど重視される理由は、大きく3つあります。
1つ目は、背骨への負担を最小限に抑えるためです。背骨が自然なカーブを保っている状態では、椎間板(ついかんばん)や関節にかかる圧力が均等に分散されます。無理な姿勢でエクササイズを行うと、特定の部分に負担が集中してケガのリスクが高まります。ニュートラルポジションを基本にすることで、安全にエクササイズを行えるのです。
2つ目は、体幹(コア)の筋肉を効率的に活性化させるためです。骨盤がニュートラルな位置にあると、お腹まわりの深い筋肉が最も効率よく働ける状態になります。これがピラティスで重要視されるコアトレーニングの効果を最大化してくれます。
体の中心部分、おもに胴体まわりの筋肉群のことです。ピラティスでは特に、お腹・腰・骨盤まわりの深い位置にある筋肉(インナーマッスル)を指すことが多く、身体を安定させる土台の役割を担っています。
3つ目は、日常生活での正しい姿勢づくりに直結するからです。ピラティスで身につけたニュートラルポジションの感覚は、立っているとき・座っているとき・歩いているときにもそのまま活かせます。ピラティスは単なるエクササイズではなく、日常の姿勢改善にもつながるメソッドなのです。
ニュートラルポジションとインプリントポジションの違い
ピラティスのレッスンでは「ニュートラル」とあわせて「インプリント」という言葉もよく出てきます。この2つは混同されやすいのですが、まったく異なるポジションです。ここでは違いと使い分けについて解説します。
インプリントポジションとは?骨盤の後傾状態
インプリントポジションとは、腰椎を床に押し付けるようにして、骨盤をやや後傾させた状態のことです。「インプリント」は英語で「刻印する」という意味があり、腰を床に「刻印」するように押し付けるイメージからこの名前がついています。
ニュートラルポジションでは腰と床の間に手のひら一枚分のスペースがありましたが、インプリントではこの隙間がなくなります。骨盤が後ろに傾くことで、腹筋がより強く収縮した状態になるのが特ちょうです。
なお、インプリントポジションはピラティスの創始者であるジョセフ・ピラティスの原典には記載がない概念と言われています。後の指導者たちによって安全性を高めるために取り入れられたもので、流派や団体によって呼び方や定義が異なる場合があります。
ニュートラルとインプリントの使い分け方
ニュートラルとインプリントは「どちらが正しい」というものではありません。エクササイズの種類や身体の状態に応じて使い分けることが大切です。
| ポジション | 使用する場面 |
|---|---|
| ニュートラル | 基本のエクササイズ全般、体幹の安定性トレーニング |
| インプリント | 両脚を持ち上げるエクササイズなど、腰が反りやすい動き |
ニュートラルポジションは、ピラティスの基本のエクササイズ全般で使われます。体幹の安定性を高めるトレーニングでは、ニュートラルを維持すること自体がエクササイズの一部になります。
インプリントポジションは、両脚を宙に持ち上げるエクササイズなど、腰が反りやすい動きのときに使います。腰椎を床に押し付けることで、腰を保護する役割があります。
また、初心者の方や腰痛がある方は、まずインプリントポジションからエクササイズを始めることもあります。体幹の筋力がついてきたら、徐々にニュートラルポジションでのエクササイズに移行していくのがおすすめです。
ニュートラルかインプリントかは、正解・不正解ではありません。自分の身体の状態やエクササイズの内容に合わせて選ぶことが重要です。迷ったときはインストラクターに相談しましょう。
ニュートラルポジションの正しい見つけ方【仰向け・座位・立位】
ニュートラルポジションの定義がわかっても、「自分の身体で実際にどうやって見つけるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。ここでは、仰向け・座位・立位の3つの姿勢別に、具体的なやり方を解説します。
仰向け(スパインポジション)でのニュートラルの見つけ方
仰向けでのニュートラルポジションは、最も見つけやすい基本のポジションです。以下の手順で試してみましょう。
- 仰向けに寝て、両ひざを立てる。足は腰幅程度に開き、足裏を床につけます。腕は体の横に自然に置きましょう。
- 骨盤を前傾させる(腰を大きく反らす)。腰と床の隙間が大きくなるように、おへそを天井に向けるイメージで骨盤を前に倒します。
- 骨盤を後傾させる(腰を床に押し付ける)。今度は逆に、腰を床にべったりと押し付けるように骨盤を後ろに倒します。
- 前傾と後傾のちょうど中間地点で止める。この「真ん中」のポジションがニュートラルです。
正しくニュートラルが取れているかチェックするために、次の方法を試してみてください。
ASIS(上前腸骨棘)と恥骨結合で確認する方法:骨盤の前側にある出っぱった骨(ASIS=上前腸骨棘:じょうぜんちょうこつきょく)と、おへその下にある恥骨結合(ちこつけつごう)が同じ高さの平面上にあれば、骨盤はニュートラルです。
手のひら三角形で確認する方法:両手の親指と人差し指で三角形を作り、親指をおへそ付近、人差し指をASISに当てます。この三角形が床と水平になっていればニュートラルのサインです。
骨盤の前側にある出っぱった骨のことで、腰骨に手を当てたときに触れる骨の突起部分です。ズボンのベルトが当たるあたりの骨、と言えばイメージしやすいかもしれません。ニュートラルポジションの確認に使う大事な目印です。
座位(シッティングポジション)でのニュートラルの見つけ方
座った状態でのニュートラルポジションの見つけ方も覚えておくと、デスクワーク中などにも活かせます。
まず、マットや椅子の上に座り、坐骨(ざこつ)を均等に座面に乗せます。坐骨とは、お尻の下にある左右2つの骨のこと。座ったときにゴリゴリと当たる骨です。
次に、仰向けのときと同じように骨盤の前後傾を繰り返します。骨盤を前に倒すと腰が反り、後ろに倒すと背中が丸まります。この動きを何度か繰り返しながら、自然に背すじが伸びる中間位を探しましょう。
骨盤が前傾しすぎると反り腰になり、後傾しすぎると猫背になります。どちらにも偏らず、坐骨の真上に上半身がまっすぐ乗っている感覚を目指してください。
立位(スタンディング)でのニュートラルの見つけ方
立った状態でのニュートラルポジションは、壁を使って確認するのが簡単です。
壁を使った確認方法:
- 壁に背中をつけて立つ。かかとは壁から5cmほど離します。
- 後頭部・胸椎(背中の上部)・仙骨(お尻の上あたりの骨)が壁に触れていることを確認する。
- 腰と壁の間に手のひらを差し込む。手のひら1枚分の隙間があれば、ニュートラルポジションが取れています。
壁がない場所では、耳・肩・股関節・ひざ・くるぶしが一直線上に並んでいることを意識しましょう。横から鏡で見たときに、これらのポイントが縦一直線になっていればニュートラルに近い姿勢です。
日常生活でもこの立位でのニュートラルポジションを意識することが、姿勢改善への第一歩になります。電車を待っているときや料理をしているときなど、ふとした瞬間に思い出して実践してみましょう。
ニュートラルポジションを維持するための体幹の使い方
ニュートラルポジションを「見つける」ことと「維持する」ことは別の話です。エクササイズ中に手足を動かすと、骨盤がぐらついてニュートラルが崩れやすくなります。ここでは、ニュートラルポジションを維持するために必要な体幹の使い方を解説します。
腹横筋の活性化がニュートラル維持のカギ
ニュートラルポジション維持の最大のカギとなるのが「腹横筋(ふくおうきん)」です。腹横筋は、お腹のもっとも深い層にある筋肉で、コルセットのように胴体をぐるりと取り囲んでいます。
腹横筋を活性化させるコツは、おへそを背骨に向かって軽く引き込む意識を持つことです。「お腹を薄くする」「おへそを背中に近づける」というイメージがわかりやすいでしょう。
ここで大切なのは、力の入れ方です。お腹をガチガチに固めるのではなく、最大の力を100%としたときに30%くらいの軽い力加減がポイントです。強く力むと呼吸が止まってしまい、かえって体幹が不安定になります。「軽く引き締める」くらいの感覚で十分です。
骨盤底筋群と呼吸の連動
ニュートラルポジションの維持には、骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)と呼吸の連動も重要です。
骨盤の底にハンモックのように広がっている筋肉群のことです。内臓を下から支え、排せつのコントロールにも関わっています。ピラティスでは体幹の安定に欠かせない筋肉として重視されています。
ピラティスでは「胸式呼吸(ラテラルブリージング)」と呼ばれる呼吸法を使います。これは、お腹ではなく肋骨を横に広げるようにして息を吸い、肋骨を閉じるようにして息を吐く呼吸法です。
息を吐くとき、骨盤底筋と腹横筋は自然に収縮します。この自然な連動を利用することで、力まずにニュートラルポジションを維持できるようになります。
大切なのは、呼吸を止めないことです。「ポジションを維持しなきゃ」と意識するあまり、息を止めてしまう方が多いのですが、呼吸を続けながらポジションを保つ練習を重ねていきましょう。
多裂筋(たれつきん)の役割と背面からの安定
体幹の安定というとお腹側の筋肉に意識が向きがちですが、背中側の筋肉も同じくらい重要です。その代表が「多裂筋(たれつきん)」です。
多裂筋は背骨に沿って走る小さな筋肉で、背骨の一つひとつの骨(椎骨)をつないで安定させる役割を持っています。脊柱の安定に欠かせない筋肉であり、腹横筋と多裂筋が協調的に働くことで、ニュートラルポジションがしっかりと維持されます。
しかし、背中側の筋肉は意識しにくいため、エクササイズ中にお腹だけに集中してしまい、背中側の意識が抜けてしまうことがよくあります。「お腹と背中の両方で胴体を支える」という前後のバランスを意識することが、安定したニュートラルポジションにつながります。
ニュートラルポジションでよくある間違いと修正方法
ニュートラルポジションは一見シンプルに見えますが、初心者がやってみると意外と難しいものです。ここでは、よくある3つの間違いとその修正方法を紹介します。
腰を反りすぎてしまう(過度な前傾)
最も多い間違いの一つが、腰を反りすぎてしまうケースです。腰と床の間の隙間が手のひら一枚分以上に広がっている状態です。
原因:腹筋の力が弱い場合や、ふだんから反り腰のクセがある方に多く見られます。腹筋がうまく使えていないと、骨盤が前に傾きすぎてしまいます。
修正方法:軽くおへそを引き込み、肋骨が前に開かないよう意識しましょう。「お腹を薄くする」意識を持つだけで改善されることが多いです。
おすすめの改善エクササイズ:ペルビックカール(骨盤の動きの練習)を行い、骨盤を前後に動かす感覚を身につけましょう。骨盤の動きをコントロールできるようになると、正しいニュートラルが取りやすくなります。
腰を床に押し付けすぎてしまう(過度な後傾)
反対に、腰を床に押し付けすぎてしまう間違いもよくあります。これはニュートラルではなく、インプリントポジションに近い状態です。
原因:「腰を守ろう」「腰を反らないようにしよう」と意識しすぎるあまり、腰を丸めてしまうことが原因です。特にピラティス初心者や、腰痛の経験がある方に多い傾向があります。
修正方法:腰と床の間にわずかな隙間があることを確認しましょう。手のひらを腰の下に入れて、軽く手が挟まれる程度のスペースがあるのが正しい状態です。
自分一人では正しいポジションの判断がつかないこともあります。その場合は、資格を持ったピラティスインストラクターに直接確認してもらうのがもっとも確実です。プライベートレッスンや少人数クラスなら、個別にチェックしてもらえます。
肋骨が開いてしまう(リブフレアの問題)
骨盤のポジションは合っていても、肋骨が前方に突き出してしまう「リブフレア」の状態になっている方もいます。
肋骨(ろっこつ)が前方や外側に開いてしまう状態のことです。見た目にはニュートラルポジションが取れているように見えても、肋骨が開いていると体幹が不安定になり、エクササイズの効果が落ちてしまいます。
リブフレアを改善するには、息を吐くときに肋骨を閉じる意識を持つことが効果的です。両手を肋骨の横に当てて、息を吐きながら肋骨が中央に寄っていく感覚を確認してみましょう。
胸式呼吸(ラテラルブリージング)の練習を続けることで、肋骨のコントロールができるようになり、リブフレアは改善されていきます。
ニュートラルポジションの感覚を身につけるおすすめエクササイズ5選
ニュートラルポジションの理論を理解したら、次は実際に身体を動かして感覚を身につけましょう。ここでは、ニュートラルポジションの維持力を高める5つのエクササイズを紹介します。どれも自宅でできるものなので、ぜひ取り入れてみてください。
ペルビックロック(骨盤の前後傾運動)
ペルビックロックは、もっとも基本的なウォームアップエクササイズです。骨盤を前後にゆっくりと動かすことで、骨盤の可動域を広げながら「中間位はここだ」という感覚を養います。
やり方:
- 仰向けに寝てひざを立てる
- 息を吸いながら骨盤を前傾させる(腰を反らす)
- 息を吐きながら骨盤を後傾させる(腰を床に押し付ける)
- この動きをゆっくり繰り返す
回数の目安:10回×2セット
動きは小さくてOKです。骨盤がどの範囲で動くかを感じ取り、その中間地点にニュートラルがあることを確認しましょう。
デッドバグ(ニュートラルを保ちながら手足を動かす)
デッドバグは、仰向けでニュートラルポジションを保ちながら対角線上の手足を同時に伸ばすエクササイズです。名前の由来は「ひっくり返った虫」のようなポーズから来ています。
やり方:
- 仰向けでニュートラルポジションを取り、両腕を天井に向けて伸ばす
- 両脚をテーブルトップポジション(ひざ・股関節ともに90度に曲げた状態)にする
- 右腕を頭上に伸ばしながら、左脚を床に向けてまっすぐ伸ばす
- 元の位置に戻し、反対側も同様に行う
回数の目安:左右交互に8回×2セット
ポイントは、手足を動かしている間も腰が反らないようにコントロールすること。腰と床の隙間が変わらないよう意識しましょう。ニュートラルの維持が難しいと感じたら、腕だけ、または脚だけの動きから始めてもかまいません。
トゥタップ(テーブルトップから足を下ろす)
トゥタップは、テーブルトップポジションから片足ずつつま先を床にタッチするエクササイズです。シンプルな動きですが、ニュートラルポジションが崩れやすいため、維持する力がしっかりと鍛えられます。
やり方:
- 仰向けでニュートラルポジションを取る
- 両脚をテーブルトップポジションにする
- 片脚のつま先をゆっくり床に向けて下ろし、軽くタッチしたら戻す
- 反対の脚も同様に行う
回数の目安:左右交互に10回×2セット
脚を下ろすときに骨盤が動きやすいので、お腹の力を抜かずに行いましょう。
レッグスライド(片脚ずつ伸ばす)
レッグスライドは、仰向けのニュートラルポジションから片脚ずつ床の上をスライドさせて伸ばすエクササイズです。
やり方:
- 仰向けでニュートラルポジションを取り、両ひざを立てる
- 片脚のかかとを床の上でスライドさせながら、ゆっくり脚を伸ばす
- 伸ばしきったら、同じようにスライドさせながら元の位置に戻す
- 反対の脚も同様に行う
回数の目安:左右各8回×2セット
脚を伸ばしていくにつれて、骨盤が引っぱられて動きやすくなります。骨盤が動かないよう安定させる意識を持ち続けることがポイントです。
アームリーチ(ニュートラルで腕を動かす)
アームリーチは、仰向けのニュートラルポジションで両腕を天井方向から頭上へ伸ばすエクササイズです。
やり方:
- 仰向けでニュートラルポジションを取る
- 両腕を天井に向けてまっすぐ伸ばす
- 息を吸いながら、両腕をゆっくり頭上に向けて下ろしていく
- 息を吐きながら、元の位置に戻す
回数の目安:8回×2セット
腕を頭上に伸ばすとき、肋骨が開いてリブフレアになりやすいので注意しましょう。肋骨が開かないよう意識して体幹を安定させることで、ニュートラルポジションの維持力が高まります。
ニュートラルポジションが難しいと感じる人への対処法
「何度やってもニュートラルポジションが見つけられない」「ポジションが合っているのか自信がない」と感じる方は少なくありません。ニュートラルポジションが難しいと感じるのは、身体の特ちょうやクセが関係していることが多いです。
身体の特徴別:ニュートラルが取りにくい原因と対策
反り腰タイプの方:
反り腰の方は、腰が過度に前弯しているためニュートラルポジションが取りにくい傾向があります。原因としては、腸腰筋(ちょうようきん)や大腿直筋(だいたいちょっきん)など、股関節前面の筋肉が硬くなっていることが考えられます。これらの筋肉のストレッチを日常的に取り入れることで、骨盤が動かしやすくなります。
猫背・フラットバックタイプの方:
猫背やフラットバック(背骨のカーブが少ない状態)の方は、骨盤が後傾するクセがあり、ニュートラルが見つけにくいことがあります。骨盤を前傾させる感覚を練習することで、中間位を見つけやすくなります。
側弯(そくわん)がある方:
背骨が左右に曲がっている側弯がある場合、左右差を感じやすく、ニュートラルの感覚がつかみにくいことがあります。この場合は自己判断でのエクササイズよりも、専門知識を持ったインストラクターや医療専門家の指導を受けることをおすすめします。
プロップス(補助具)を使った練習方法
自分の感覚だけではニュートラルが見つけにくい場合、プロップス(補助具)を使うと感覚がつかみやすくなります。
ピラティスで使う補助道具の総称です。フォームローラー、ピラティスボール(ミニボール)、セラバンド、タオルなどがあり、エクササイズの補助やフォームの修正に活用されます。
- フォームローラー:背中の下に縦向きに置いて仰向けに寝ると、背骨のカーブを意識しやすくなります。ローラーの上でバランスを取ることで、自然と体幹も活性化されます。
- タオル:丸めたタオルを腰の下に入れることで、ニュートラルポジションでの腰の隙間の感覚を覚えることができます。「このくらいの隙間があればOK」という目安がつかめます。
- ピラティスボール(ミニボール):骨盤の下に置いて前後傾の動きを練習すると、骨盤の動きが大きく感じられ、中間位を見つけやすくなります。
プロップスはあくまで感覚をつかむための補助です。慣れてきたらプロップスなしでもニュートラルが取れるよう、少しずつステップアップしていきましょう。
ニュートラルポジションが日常生活の姿勢改善につながる理由
ピラティスで身につけたニュートラルポジションの感覚は、エクササイズの時間だけでなく、日常生活のさまざまな場面で活かすことができます。むしろ、日常の中で意識を続けることが、本当の姿勢改善につながります。
デスクワーク中の姿勢とニュートラルポジションの関係
長時間のデスクワークは、姿勢が崩れやすい代表的な場面です。座っている時間が長くなると、自然と骨盤が後傾して猫背になりがちです。
座位でのニュートラルポジションを意識するだけで、腰痛の予防に効果的と一般的に言われています。ポイントは、坐骨で座る意識を持つことです。お尻の下にある坐骨をしっかり座面に当て、その上にまっすぐ上半身を乗せるイメージを持ちましょう。
とはいえ、長時間同じ姿勢を続けること自体が身体への負担になります。1時間に1回は骨盤の位置をリセットする習慣をつけましょう。骨盤の前後傾を数回繰り返してニュートラルに戻すだけでも、腰まわりの疲労感がやわらぎます。
立ち姿勢・歩行時のニュートラルポジション意識
立っているときにニュートラルポジションを保つと、体の重さが骨格全体にバランスよく分散されます。一部の筋肉や関節に負担が集中するのを防ぎ、長時間立っていても疲れにくくなります。
歩いているときも、骨盤のニュートラルを意識してみましょう。骨盤が安定していると体幹が安定し、脚の振り出しがスムーズになります。
ピラティスを続けることで身につく「ボディアウェアネス(身体への気づき)」は、こうした日常の姿勢改善の土台になります。「今、自分の骨盤はどこにあるかな?」と気づけるようになるだけで、姿勢は大きく変わっていきます。
自分の身体の状態や位置、動きに対する意識・気づきのことです。ピラティスでは、筋肉をただ動かすのではなく、「今どこが動いているか」「骨盤はどの位置にあるか」を常に感じ取ることが重視されます。この感覚が、日常の姿勢を自然に整える力になります。
まとめ:ニュートラルポジションはピラティスの全ての基本
ニュートラルポジションは、ピラティスのあらゆるエクササイズの出発点となる、もっとも大切な基本姿勢です。この記事で解説した内容を振り返りましょう。
ニュートラルポジション習得のポイントまとめ
- ニュートラルポジションとは、骨盤の中間位を保ち、背骨の自然なS字カーブを維持した状態のこと
- 見つけ方は、骨盤の前傾と後傾を繰り返して、その中間地点を探す
- 腹横筋・骨盤底筋群・多裂筋の協調的な働きで維持する
- インプリントポジションとの使い分けを理解し、エクササイズに合わせて選択する
- 焦らず、毎回のエクササイズで意識することが上達への近道
ニュートラルポジションは、一度で完璧にできる必要はありません。毎回のエクササイズの中で少しずつ感覚を磨いていくものです。
もし自分のフォームに不安がある場合は、資格を持ったインストラクターの指導を受けることをおすすめします。正しいニュートラルポジションが身につくと、ピラティスのすべてのエクササイズの効果が大きく変わるはずです。
よくある質問
ニュートラルポジションとインプリントはどちらが正しいですか?
どちらかが正しいというものではありません。エクササイズの種類や身体の状態によって使い分けるのが適切です。基本的にはニュートラルポジションで行い、両脚を持ち上げるエクササイズなど腰椎が不安定になりやすい場面では、インプリントが推奨される場合があります。大切なのは、自分の身体に合った選択をすることです。
ニュートラルポジションが見つけられないのですが、どうすればいいですか?
まずは骨盤の前後傾を大きく動かす練習から始めましょう。大きな動きで骨盤の可動域を確認してから、その中間を探すと見つけやすくなります。タオルやフォームローラーなどのプロップス(補助具)を使って感覚を覚える方法も効果的です。それでも難しい場合は、専門のインストラクターに直接見てもらうのがもっとも確実です。
ニュートラルポジションを取ると腰が痛いのはなぜですか?
いくつかの原因が考えられます。反り腰の方は、ニュートラルのつもりでも過度な前傾になっている可能性があります。また、体幹の筋力が不足していると、ニュートラルを維持できずに腰へ負担がかかることもあります。痛みがある場合は無理をせず、まずはインプリントポジションでエクササイズを行いましょう。痛みが続く場合は、医療専門家への相談をおすすめします。
ピラティス初心者ですがニュートラルポジションから覚えるべきですか?
はい。ニュートラルポジションはピラティスのすべてのエクササイズの基盤となるため、最初に覚えるべき要素の一つです。ただし、最初から完璧にできなくても問題ありません。繰り返しの中で少しずつ感覚を養っていくことが大切です。初心者向けのクラスやマットピラティスの基礎レッスンから始めると、丁寧に学ぶことができます。
ニュートラルポジションはマシンピラティスでも同じですか?
基本的な骨盤・背骨のアライメント(配列)の考え方は、マットピラティスもマシンピラティス(リフォーマーなど)も同じです。ただし、マシンではキャリッジ(可動する台)の動きに合わせてニュートラルを維持する必要があるため、難度が変化します。一方で、マシンのサポートがある分、初心者がニュートラルの感覚をつかみやすいという面もあります。マットとマシン、どちらから始めても構いません。